2022.12.09 よしお兄さん親子のとっておき絵本時間

よしお兄さん親子のとっておき絵本時間
小林 よしひさ

東京造形大学 非常勤講師
東京都こども未来会議委員

2005年~2019年 NHK「おかあさんといっしょ」体操のお兄さんを
歴代最長の14年間務める。
現在、同じくNHKEテレ毎週月~水「オハ!よ~いどん」体操のお兄さんとして
レギュラー出演中!!
ワールドジムナストラーダ(世界体操祭) 日本代表。
※ワールドジムナストラーダ(世界体操祭)とは…競技性がない大会、体操のショーみたいなもの。各国の代表が集まる。

公式ブログ
https://ameblo.jp/kobayashi-yoshihisa/

Twitter
yoshi023gogogo/


体操のお兄さんを卒業後、体操のインストラクターとしてはもちろんのこと、多方面でご活躍の小林 よしひささん。“よしお兄さん”として全国の子どもたちに会いに行く傍ら、娘さんとのエピソードを聞かせてくれるなど、パパとしての顔も時折見せてくださいます。

今回は子育て中のパパとして、娘さんとの日常や絵本時間についてうかがいました。おしゃべりが大好きという娘さんとのやりとりがなんともほほ笑ましく、必見です!

よしお兄さん親子のとっておき絵本時間

目次
●会話を通して気づくうれしい成長
●気に入ったら、繰り返しリクエスト!
●パパの名前を見つけて大喜び♪
●「読み聞かせ」はパパにも娘にも最高のひととき
●想像力を膨らませて運動遊びに
●興味のあることから運動につなげよう
●自発的に選ぶと、ポジティブになれる


会話を通して気づくうれしい成長

娘と一緒にごっこ遊びも

4歳になる娘さんとは、たくさんお話をしたり一緒に遊んだりしているという、よしお兄さん。日々更新されるブログでも、そんなひとコマを垣間見ることができます。

「うちの娘は、いろんなことに興味を持つ好奇心旺盛な子で、中でもごっこ遊びが最近気に入っているようです。いろんな設定をしてなりきって遊びます。
今はお店やさんごっこをやることが多く、お店やさんとお客さんを交代しながらやっていますね。お店に入ってくるところから状況を説明されて、結構細かいです(笑)」


ごっこ遊びのエピソードをうかがっていると、パパとのやりとりが上手な娘さんの様子が伝わってきます。遊びを通してお互いの好きなものの話をしたり、興味を持っていることを知ったりもできるのだとか。
また幼稚園へ通うようになり、言葉にも変化が見られるようになったと言います。

「幼稚園へ通い始めてから、そこで知った言葉や口癖が見られるようになりました。今まではずっと一緒にいたけれど、親の知らない世界、新しい社会にちゃんと行っているんだと感じて、うれしい気持ちになりますね」

そんな娘さんは、パパの仕事もしっかり理解し、応援してくれているのだとか。時には一緒に仕事現場に参加することもあるそうで、そんな時には思わずよしお兄さんも力が入ってしまうのだそうですよ。


気に入ったら、繰り返しリクエスト!

自分も楽しみながら何度でも読みます!

よしお兄さんは、娘さんが赤ちゃんの頃から絵本を読む時間も大切にされているのだとか。
よしお兄さん親子にとって、絵本は日々触れている身近なものなのだそう。

「最初は絵本に興味を持ってもらおうと、手で触るしかけ絵本や、小さい頃から生き物や動物が好きだったので、そういうものが出てくるお話を中心に選んでいました」

実際に娘さんが赤ちゃんだった頃に読んでいた絵本を、一冊ご紹介いただきました。『パーソナルちいくえほん』のような、子どもについての研究を取り入れたものだったのだとか。

●娘さんのファーストブックだったという絵本
もいもい

絵:市原 淳
監修 開一夫
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン

「この絵本を手に取ったのは本当にまだ赤ちゃんの時だったので、どんなものなのかな?と思って読んでみました。娘はどこかへ行くことなく興味を示して、絵本に触れて探るような動作をしていたんです。研究に基づいているんだなと肌で感じました」

現在ではいろんな絵本がご自宅にあり、そこから自分で選んだり、「あの絵本あったよね、どこだっけ?」と尋ねたりもするようになった娘さん。気に入った絵本は、何度でも読んでとリクエストされるそう。

「お気に入りの絵本は、一回読み終わると4、5回読んでということもあるので、読み方を変えながら繰り返し読みます。私も変えた方がおもしろいんですよね。娘のためにということもありますが、自分自身が楽しむために変えている部分もありますね」

具体的にはどんな絵本を読んでいるのか、教えていただきました!

●よしお兄さん親子のお気に入り絵本
しろくまのパンツ
作:tupera tupera
出版社:ブロンズ新社

「トイレトレーニング後から読み始めて、好きになりました。『あなたのパンツはどれですか?プリンッ!』なんてやると大笑いして喜びます。しかけがあると、繰り返し読めて、さらに楽しめるなと感じています。
絵本を読み終わって、私もだまされていた!と思わずうなった一冊です」


また、よしお兄さんが子どもの頃から大好きで、娘さんにも読み聞かせをしたという絵本も教えてもらいました。

●幼いよしお兄さんのヒーロー心がくすぐられた一冊
グリーンマントのピーマンマン
作:さくら ともこ
絵:中村 景児
出版社:岩崎書店

「私が子どもの頃からずっと覚えていて好きだった絵本です。
私は小さい頃ピーマンが食べられる子だったのですが、読み聞かせをしてもらった時に、ピーマンを食べられるってすごいんだ!と思ったのを覚えています。ピーマンがヒーローになって必殺技をするというところに、子ども心がくすぐられましたね。
娘にも一時期、読み聞かせをしていました。結果、ピーマンが好きになってくれたみたいです」


パパの名前を見つけて大喜び♪

遊びながら楽しく読めて、学びにつながる



今回、よしお兄さんには『パーソナルちいくえほん』をお送りして、娘さんと一緒にいくつか読んでいただきました。
最近文字を理解し始めた娘さんは、『ひらがななまええほん』に出てくるパパの名前にとても興味津々だったのだとか。
(『ひらがななまええほん』は、名前の文字を使ってお話が広がっていく内容なので、今回は「こばやし よしひさ」で作成した絵本をお届けしました)


「テレビのテロップなどで名前が出てくるからか、私のことをパパというだけでなく、『こばやし よしひさ』とも認識してくれているようです。 パパの『よ』だね!と見つけながら、楽しく読めました」

自分が知っているものが出てくるとうれしい、言いたい!という気持ちもあってか、すごく反応がよかったようです。

また生き物が大好きという娘さんは、『おいで』の本に出てくる動物たちにも惹かれ、繰り返し読んでくれたのだとか。


「この動物なんだと思う?(文字を見て)なんて書いてあるの?など会話しながら読みました。 いろんな遊びができますね。バリエーションがあっていいなと思いました」

「知育」と聞くと、一見勉強させるもの?という印象を受ける場合もあります。しかしよしお兄さんは、それを使ってどう遊ぶか?と捉えると良いんじゃないかと話します。

「ひらがなを教えようと思わずに、読むとそれに促されて自然と遊びながらクイズをする、そしてそれがコミュニケーションにつながる。その結果、よしひさの『よ』と覚えられる。
遊びが最大の勉強だと思っているので、子どもが自発的に遊びを始めて、ひらがなを覚えることにつながるのはいいですね」


『ひらがななまええほん』を見る

『おいで』を見る

「読み聞かせ」はパパにも娘にも最高のひととき

遊びに、コミュニケーションに、そして学びに

よしお兄さんが子どもの頃には、読書好きだったお父さんの影響もあり、さまざまな本が家にあり、自由に手に取れる環境だったと言います。そして今はパパとなり、娘さんにも自分で絵本を選べる環境を作っているのだそう。

そんなよしお兄さんに、絵本を読む楽しさについてうかがいました。

「絵本を読んでいる時は何にでもなれますよね。自分が主人公になったり、その物語に入ったり、想像が膨らんでいきます。 それに加えて、知育という教育的なことやしつけ、また嫌いなものが好きになることだってあります。
幅広くいろんなことに使えて、絵本はすごいツールだなと感じます」


絵本の読み聞かせは、親子でコミュニケーションできる最高のひととき、と語るよしお兄さん。普段、娘さんとはどんなふうに絵本を読んでいるのでしょうか?

「娘を膝に乗せて読むこともありますが、寝る前なら、並んで腕枕をしながら読みますね。 同じ目線で見たいなと思うので、向き合うよりはくっついて触れあって読みたいんです」

娘さんにとって、安心して想像の世界へと飛び出せるステキな時間だというのが伝わってきました。皆さんは、いつもどのようなスタイルで読み聞かせをしていますか?

想像力を膨らませて運動遊びに

絵本で作りたかった一冊

昨年、よしお兄さんは運動遊びを取り入れた絵本『よしおにいさんの まねっこ だいぼうけん!』を出版されています。よしお兄さんと一緒に冒険に出かけながら、いろんなポーズを楽しむ絵本です。

作:小林 よしひさ
絵:のぶちか めばえ
出版社:講談社

身体を動かす内容の場合、動画になっているものが多いですが、こちらは絵本ということにこだわって作られたのだとか。

「動画ではなく、絵本にしようと思って作りました。
たとえば本の中に、舟をこいで向こうの島へ行ってみよう!という場面があるのですが、初めは写真のポーズをまねするところから読み進めてもらい、そこから想像を膨らませ、自分たちで動きを作っていってもらいたいと考えたんです。
動画だとどうしても動きをそのまま、まねすることになってしまいます。だから絵本が適しているなと思ったんです」


絵本の中ですべてを解説していないからこそ、繰り返し読むといろんな気づきがあり、想像の世界が広がりそうです。
この絵本を読む時に、親子で話をしていろんな場面設定を楽しみながら、運動遊びへと発展してもらえたらということでした。

興味のあることから運動につなげよう

日常の中に“身体を動かすこと”を取り入れる



子どもたちの中には身体を動かすことが苦手と感じている子もいて、特に年齢が上がってくるにつれ、身体を動かす機会が減っていると感じることもあるかもしれません。
よしお兄さんも日々活動される中で、そういう子たちも何かきっかけが違えば運動が好きになっていたのかな…と感じることがあるそう。
運動の楽しさを伝えるために、親ができることはあるのでしょうか?

「どうしても苦手な子はいますよね。そういう場合は、あえてやらせることはないと思います。まずそこで、心理的な負担を外してあげましょう。
そして、日常の中で興味あることに運動を取り入れてみてはいかがでしょうか?

たとえばカードゲームが好きなら、ゲームをする時に足を開いてやってみようとか、散歩してから散歩先でゲームをしようとか。 ほんの少しでいいんです、させなきゃいけないというふうに考えなくてもいいと思います」


脳発達や運動感覚の向上にもつながり、将来的には健康という面からも身体を動かしたほうが良いと言われます。 でもまずは子どもたちに、身体を動かすことは気持ちいいんだよ、楽しいですよということを感じて欲しいと、よしお兄さんは語ります。

「身体を動かすのが苦手でもいいけれど、嫌いになって欲しくないなと思います。誰かと一緒に身体を動かすことで、楽しいと思ってもらえるとうれしいです」

自発的に選ぶと、ポジティブになれる

今回インタビューをする中でもそうでしたが、普段テレビなどでよしお兄さんを拝見していても、周りの子どもたちがすっと引き込まれていて、またご自身も楽しんでいる様子がとても伝わってきます。
そのヒントが、インタビュー中のよしお兄さんの言葉にありました。

「どんなことでも『自分で選ぶこと』を大切にしています。自発的に選んでいくと一番自分がポジティブになれると思うんです。 遊びって自発的にするから楽しめるんですよね。普段からこれを意識しておくと、精神的にもいいなと思います」

実はよしお兄さんは、娘さんにも小さい頃からそうさせるようにしているのだとか。 たとえば絵本を選ぶ時にも、初めは何冊か選んだ中から自分で選ばせるようにしてきたことで、絵本を大好きになり、今では自ら楽しめるようになったと言います。

自分で考えて選ぶこと。子どもはもちろん大人も心を健やかに保ち、笑顔でいられる秘訣なのではないでしょうか。 ポジティブな気持ちで、身体も心も健康的に過ごしていきたいですね。

最終更新日:2022/12/09