子どもの個性は伸ばしたほうがいい?てぃ先生に聞く「子どもの個性との向き合い方」
目次
●“個性”ってどんなもの?
●子どもの好きなことを認めよう
●多様な子どもの“個性”に寄り添うために
●てぃ先生のお気に入り絵本とは?
●読み聞かせる親も笑顔に
●子どもの気持ちを尊重し、受け止めることから始めよう
“個性”ってどんなもの?
好きなものや性格を含めたその子らしさ
一般的に“個性”とは「他の人にはないその人だけの性質」を指しますが、保育や子育てにおける“個性”はもう少し広い意味を持つと、てぃ先生は考えています。
「例えばこの子はこういうものが好きだよねっていう、好きなものや性格などを含めた、もっと広い定義で捉えています」
しかし、てぃ先生は個性を捉える時に気をつけたい点があると言います。そして個性を都合の良いものに考えすぎていませんか?とも問いかけます。
「最近、何でも“個性”という言葉で片付けてしまう部分があると感じます。人間が暮らしていく中で、他人との関わりや協力、思いやりは欠かせません。個性だけを磨き上げれば、子どもが幸せになれるのか…そうではないような気がします」
では、その子らしさという意味での個性は、伸ばしたほうがいいのでしょうか。親はどのように向き合っていけばいいのでしょう?
子どもの好きなことを認めよう
“個性”は自然と芽生えてくる
子どもの個性は、できるだけ伸ばしてあげたほうがいいんじゃないか、親はそのように考えるもの。個性が伸びるとどんな良いことがあるのでしょうか?
「自己肯定感や活動へのモチベーションアップにつながりやすいです。例えば苦手なものがあるけれど、これだけは好きっていうものを極めていくと、初めて自分の中に「軸」ができるんです。
それがしっかりでき上がると興味が広がったり、チャレンジ精神が身に付きやすくなります」
では、私たち大人ができることはどんなことなのでしょうか?
「大人が特別何かをするのではなく、子どもの好きっていう気持ちを認めること。そして好きを高めるために必要なことや体験があるなら、それをサポートすることです」
そしててぃ先生は個性について、次のように語ります。
「個性は持たせるものではなくて、自然と芽生えてくるものなんだと思いますよ」
多様な子どもの“個性”に寄り添うために
「受け止める」ことから始める
これからの学校教育の学習スタイルとして「個別最適化」が掲げられ、関心が深まっています。
てぃ先生は、保育の中で多様な子どもの個性に寄り添うため、どのようなことに取り組んでいるのでしょうか?
「その子が興味あること、考えていること自体を受け止めるように心がけています。
大人が何かやってあげるのではなく、その子をそのまま受け止めるということ。それができれば、自然に個性は形成されていくものだと思うからです」
個性を伸ばすために何かしてあげないと…というよりは、ありのままを“受け止める”ことが第一歩と語る、てぃ先生。
子育ての中ですべてを「受け入れる」のは難しいけれど、まずは「受け止める」。難しく考えすぎず、そう考えているのね、とワンクッション置くことから始めてみてはいかがでしょうか。
てぃ先生のお気に入り絵本とは?
実は子どもの頃、絵本が苦手だった!?
保育士という仕事柄、絵本は身近な存在であるてぃ先生。小さい頃から本好きだったのかと思いきや、実は苦手だったと聞いてびっくり。
「実は子どもの頃から絵本が好きじゃなくて。家であまり絵本を読んでもらわなかったからか、読む習慣がなく興味が持てなかったんです。
絵本より、体を動かして遊ぶほうが好きでした」
それでもお気に入りの絵本があったと当時を振り返ります。
「動きのあるしかけ絵本が好きでした。ちょっとおもちゃっぽくて。覚えているのは、『パパ、お月さまとって!』の絵本です。
広げていくと大きいお月さまが出てくるところがすごく印象に残っています」
●迫力満点!てぃ先生が子どもの頃にお気に入りだった絵本
『パパ、お月さまとって!』
作:エリック・カール
訳:もり ひさし
出版社:偕成社
保育士になってからは、たくさんの絵本に触れてきたてぃ先生。その中で、先生が常に手元に置いているというイチオシの一冊を教えてくれました!
「今一番読んでいるのは『ぞうくんのさんぽ』。さっと読めて、かつ子どもたちの反応が良いんです。
保育園ではじっくり読める絵本だけではなく、活動の合間の時間にさっと読める絵本も重宝されます。そういう意味で、とても利便性が高い絵本です」
●短いのに満足度が高くておもしろい!と保育園でも大活躍の一冊
『
ぞうくんのさんぽ』
作・絵:なかの ひろたか
レタリング:なかの まさたか
出版社:福音館書店
読み聞かせる親も笑顔に
お子さんの表情や反応を見ながら言葉をかけていく
『パーソナルちいくえほん』を手にして、「読み聞かせる親のモチベーションが上がって、読んであげたくなりますよね」とおっしゃっていた、てぃ先生。
『パーソナルちいくえほん』は、まさに開発段階からそこをめざして作ってきた絵本なのです。
今回はラインアップの中から『すきなもの』を通して、お子さんへの言葉がけについてお話をうかがいました。
「『●●ちゃん、これ好きよね』という言葉がけは、まだ言葉がはっきりと出てこないうちはいいですが、しっかりと言葉が出てくるようになると大人が決めつけないほうがいいですね。
お子さん自身の反応を見ながら言葉をかけてあげてください」
また、好きなものの話をするときのアドバイスについても教えていただきました。ポイントは“パパやママが好きなもの”を伝えること。
「例えば「ママはこれ好き」と言ってみて、それに子どもが同調してきたら『●●ちゃんとママ、同じものが好きなんだねー』、そんなふうに会話できるといいと思います」
ポジティブなこともネガティブなことも、まだ身近な大人の影響を受けやすい子どもたち。それがそのまま個性にもつながりやすい時期だからこそ、子どもが自分から「好きだな」と思えるような言葉がけができるといいですね。
→『パーソナルちいくえほん』とは?
→『すきなもの』を見る
子どもの気持ちを尊重し、受け止めることから始めよう
今回は保育のプロとして、てぃ先生に保育士の視点から子どもの“個性”について教えてもらいました。
大人から手を貸さなくても子どもはいろんなものに興味を持ち、個性は自然と芽生え、伸びていくのだそうです。
一番身近な大人である親は、子どものためにしてあげられることを考えがちですが、子どもと向き合って、気持ちを尊重し受け止める。
それが“個性”を伸ばすことにもつながっていくのではないでしょうか。