2022.09.15 人の気持ちを思い描ける子に。 絵本講師に聞く、親子での絵本の読み方

人の気持ちを思い描ける子に。  絵本講師に聞く、親子での絵本の読み方
ふわはねえほん 主宰 ふわはね(内田 祐子)
絵本講師・JPIC読書アドバイザー(※)・子育てアドバイザー

大学で児童文学を学ぶ。2005年絵本講師1期生として絵本講師資格取得。関西を中心に企業での定期教室をはじめ、幼児教育に携わる先生や書店員への研修。絵本講座、研修、絵本コンサルなどを行っている。
絵本のつなぎ手として、絵本の作り手と読み手を。親と子を。人と人をつないでいる。
2021年 大阪府箕面市の自宅にて絵本のアトリエをオープン。
大学生と高校生の娘をもつ。
インスタグラム @fuwahane

※一般財団法人出版文化産業振興財団による民間資格。
本と読者をつなぎ、本や読書に対して助言や提案を行う役割を担っている。

「読んで〜」と子どもが持ってきた絵本を、一緒に座って読む。何気ない子育てのひとコマですが、そのやり取りを通して子どもたちは人とのコミュニケーションを学んでいるのだとか。

「絵本を読んだら、まだ話せない赤ちゃんが笑ってくれた。何度も読んでいると覚えて絵本のことばを言うようになった。選ぶ絵本で心のコンディションが分かるようになった。私たちは絵本を通して、会話しているのかもしれません」と絵本講師のふわはねさんは語ります。

親子のコミュニケーションツールにもなるという「絵本」。その役割について語っていただきました。
人の気持ちを思い描ける子に。 絵本講師に聞く、親子での絵本の読み方

目次
●絵本を通して、想像力を育む
●絵本とともに疑似体験する
●いろんな「気持ち」と「ことば」を結ぶ
●文字のない絵本はどう読むの?
●絵本を通して、親子での会話を


絵本を通して、想像力を育む

“想像力”ってどんなもの?

絵本を読むと想像力がつくと言われますが、“想像力”って何でしょう。ふわはねさんの考えを伺いました。

「“想像力”とは、夢のような世界を思い描くことだけではありません。
こう言ったら相手はどう思うだろう?周りの人が不愉快にならないようにするには、どうしたらいいだろう?このように、自分以外の人の気持ちを思い描くのも“想像力”です。
また、たとえば旅行の荷造りをしている時、旅先でのことをイメージして準備をする。この時にも“想像力”を使います。
“想像力”は、人と人とのコミュニケーションや私たちの生活に欠かせないものだと考えます」


では“想像力”を育むために絵本ができることとは、どんなことでしょうか?


絵本とともに疑似体験する

絵本で経験値をあげる

絵本は、私たちがまだ経験したことのないことを教えてくれる、そんな存在でもあります。

「絵本を読むことで、私たちは物語の中で疑似体験をすることができるんです。絵本の中の登場人物と一緒に、ドキドキしたりワクワクしたり、楽しんだり悲しんだり。そんなふうにしっかりと心を揺さぶられながら、人が持ついろんな感情を知り、表現できるようになっていく。絵本の力のひとつだと思っています」

嬉しい、楽しい、悲しい、怒っている、寂しい。感じたその気持ちを、相手に自分のことばで伝えるために、絵本を通してさまざまな経験をし、たくさんのことばに出会って欲しい。そう語るふわはねさんに、いろんな気持ちを知ったり、疑似体験ができる絵本をご紹介いただきました。

●気持ちをことばで表現するおもしろさを知る『やってみよう!あいうえお

作:スギヤマ カナヨ
出版社:くもん出版

●絵本の中で疑似体験『はじめてのおつかい
作:筒井 頼子
絵:林 明子
出版社:福音館書店


いろんな「気持ち」と「ことば」を結ぶ

自分の気持ちを伝えるとともに、相手の気持ちも理解できるように

自分の気持ちをことばで伝えるには、人にはいろんな気持ちがあること、そして自分が感じたその「気持ち」をどんな「ことば」で表現するのかを知る必要があります。

「子どもたちは、絵本で大好きな人の声を通したいろんな“ことば”に出会っています。そしてそれらを、自分の心の引き出しにしまっていくのです。
その引き出しに“ことば”がたくさんあれば、自分の気持ちを伝える時、相手の気持ちを考える時に、選んで使うことができる。私はそんなふうに考えています」



感じた「気持ち」を表す「ことば」を子どもたちの心に増やしていける絵本が、パーソナルちいくえほんの『すくすく★ぴったんこ たくさんのきもち』です。


気持ちを表すことばを知り、そのことばを使って気持ちのやり取りができるようになる、そんな一冊です。自分の気持ちを伝えられるようになるとともに、相手の気持ちを想像することにもつながっていきます。

「パーソナルちいくえほん」とは?

『すくすく★ぴったんこ たくさんのきもち』を見る


文字のない絵本はどう読むの?

構えることなく絵本を開き親子で会話を

実は『たくさんのきもち』には、文字のないパートが出てきます。どう読んだら良いの?と迷う方もいらっしゃるのではないでしょうか。

「文字のない絵本でお話を作るのは難しい、苦手…という声を聞くことがあります。しかし私は、文字のない絵本でお話を作る必要はないと思っています。
どうぞ構えることなく絵本を開き、子どもたちから出ることばをきっかけに、一緒にお話を始めてください」


とふわはねさんはおっしゃいます。
絵の中にあることばを親子で探し語り合うことで、「ことば」「気持ち」、そしてコミュニケーション力が育まれていくのだそう。
最後に、いろんな楽しみ方ができる文字のない絵本を紹介してくださいました。

●何度も楽しめる文字のない絵本『おふろやさん

作:西村 繁男
出版社:福音館書店


絵本を通して、親子での会話を

子どもが成長していく中で、自分の気持ちを相手に伝えることは友だちや周りの人たちと関わるうえで欠かせないことです。
絵本を通して親子で会話することで、想像力を育み、感じたことをことばにして伝えられる、その第一歩を踏み出すきっかけにしていただければと思います。


最終更新日:2022/09/15