2022.08.15 特別対談Ⅱ(前編)~保育現場で感じる子どもの感情発達に必要なこと~

特別対談Ⅱ(前編)~保育現場で感じる子どもの感情発達に必要なこと~
(左:社会福祉法人摩耶福祉会 幼保連携型認定こども園 るんびにこどもえん園長 楢﨑雅氏、右:NTTコミュニケーション科学基礎研究所研究主任 渡邊直美氏)
『たくさんのきもち』の発売を記念して実施した子どもの感情発達に関する特別対談。今回は福岡県糸島市でこども園を運営される楢﨑雅さんに登場いただき、園での生活を通して最近の子どもの感情発達をどのように感じているか、『たくさんのきもち』監修者の渡邊直美さんがお話を伺いました。
特別対談Ⅱ~保育現場で感じる子どもの感情発達に必要なこと~(1)

目次


●昔と今で感じる社会の変化
●なぜ感情教育が必要なのか
●どの感情も子どもにとって大事なもの
●泣くことも怒ることも、心が健康な証し
●幼児期における感情教育とは

キャラクター02

よろしくお願いします。今日のテーマは「気持ち」ですが、まずは楢﨑さんがいらっしゃるこども園について、お聞かせください。どのようなお子さんが何人くらいいらっしゃいますか。


キャラクター01

定員は85名ですが、今受け入れてる子どもの数は60名くらいで、少し抑えてます。ここ数年は3歳より上の幼児クラスが40~45名くらいで、0歳児~2歳児が15名くらいの構成になっています。男の子と女の子の比率は、特に偏っておらず、同じくらいですね。


キャラクター02

ありがとうございます。るんびにこども園さんは、発達に何らかの課題を持っているお子さんの数が、糸島市の中でも多い方だと伺っています。


キャラクター01

普段、私もスタッフも特に意識することはありませんが、私が自閉症スペクトラム支援士の資格を持っていることもあり、親御さんとしても「子どもに少しでも合う環境を…」と探して、来られる方はいらっしゃいますね。他の園と大きな差はないと思いますが、園には本当に幅広い発達の子どもたち、いろんなご家庭の状況の方がいらっしゃるかなと思います。

これはうちに限ったことではないですが、子育て世代の方々含めて、現代で生きる人たちはメンタル不調の人も多く、そこにコロナパンデミックが起こったことで、ますます今回のテーマである「きもち」に関わってくるようなケースにあふれていると思っています。


キャラクター02

ありがとうございます。そういったご家庭やお子さんをどのようにサポートしているのかも、後で詳しくお聞きしたいのですが、まずは楢﨑さんのプロフィールを簡単に紹介いただけますか。園長のお仕事以外にも、いろいろされてますよね。


キャラクター01

本務はもちろん認定こども園の園長なんですが、それ以外に先ほどお話した自閉症スペクトラム支援士として子どもたちや大人の支援だったり、近年では保育士養成校の非常勤講師や、糸島市保育協会の副会長を務めています。もう少し大きいところでは福岡県の保育協会の理事も数年務めているのと、今年度から日本赤ちゃん学会の評議員として参加させてもらっております。他にもNPOさんと共に園児や卒園児の発達支援事業を行ったり、近所の財団法人さんとのコラボで社会福祉活動をしていたり、先日はスタートアップ企業と保育業向けの新しいツールを開発できないかというミーティングをしていたり。

あまり園に籠りすぎて視野が狭くならないようにという感じで、いろいろちょこまかと動いています(笑)


キャラクター02

面白いですね(笑)園で起きていることをいろんな視点から見れるというのは、貴重だなと思います。今日はその中でも現場で感じるお子さんの感情についてお聞きしたいと思います。


昔と今で感じる社会の変化


キャラクター02

まずは昔と今を比べて、何か変化を感じることはありますか。


キャラクター01

私が現職に就いて約20年経ちますが、その間に子どもが大きく変わったというよりは、世の中の方が大きく変わっているので、それによって子どもたちが表出するものが変わったように見えているのかなと思います。

昔と比べて目立つようになったのは、衝動性が高いと感じる姿かなと思いますが、それも子どもの姿が変わったというより、「見えてきた」という言い方が正しいのかなと思います。

一方で、社会の環境の変化に適応しようとするとどうしても衝動的にならざるを得ない状況であるのかもしれないとの思いも持っています。


キャラクター02

「見えてきた」というのは、保育者側の視点が変わったり、より気づきやすくなったということでしょうか。


キャラクター01

断定はできないですけど、まず単純に子どもの数が減ってきたということと、多分私たちが子どもに着目できるようになってきたということかなと思います。それに加えて、子どもの発達の見方や方法論というのが確立してきたのかなと思います。

例えば20年前は発達障がいという言葉もそこまでメジャーじゃなかったと思いますが、今だと発達障がいという言葉自体は、皆さん聞いたことはあると思いますので。


キャラクター02

もともと気づいていたものに名前がついてきたという部分は、あるかもしれませんね。


キャラクター01

それから昔に比べて、子どもたちが自分たちの個性を表に出しやすくなったのかなという気はしますね。


キャラクター02

いわゆる「足並みをそろえて…」という文化が少しずつ緩和されてきたというか、個性が受け入れられる社会になってきたのでしょうか。


キャラクター01

平成21年に保育所保育指針や幼稚園教育要領が大きく変わって、それまでは画一的な保育の在り方だったのが、環境を通してという保育の在り方に変わりました。また保育所保育指針がガイドラインから告示化されて法律の一種として位置づけられましたし、平成29年には子ども子育て支援法ができて、そこでも「子ども一人ひとりの~」という文言が、より表に出るようになりました。

私たちも公費運営という点で公的機関に準ずる人間として、法律に則った保育を提供していかなければいけないので、より一人ひとりを見ていくような体制に、国を挙げてなったのが大きいかなと思います。


キャラクター02

なるほど、国全体での変化が起こっているのですね。私たちが普段調査している中でも、保育園・幼稚園・こども園でお子さんに身につけてほしいものを親御さんに訪ねると「個性」という言葉がたくさん出てきます。個性を伸ばしつつ、集団生活にも馴染んでほしい!という思いをよく聞きますね。


キャラクター01

保護者の方が園に求めるものも、子どもの個性を伸ばしてほしいということと、自分の子どもの成長に合った対応というのが多いのかなと思います。


キャラクター02

「成長・発達に合った」というキーワードは、本当にいろんなところで聞くようになりましたね。社会や親御さんの意識に変化が起こっているのではないでしょうか。


なぜ感情教育が必要なのか




キャラクター02

ではここからは日本における「感情教育」について、少し話をしていきたいなと思います。もちろん保育現場ではお子さんたちの感情の学びを支えることは、すでにされてきていると思います。

今回は、そこをもう少ししっかり支えようという意味で「感情教育」と言う言葉を使いますね。


キャラクター02

まず感情に関連した事例として、大人もそうですがお子さんの自殺者が増えている現実があると思います。一見すると分からないけど「なぜあの子が…」というケースもありますよね。


キャラクター01

あくまで個人的な意見としてお話しますが、やはりとても悲しいことだと思います。特に、本当に苦しくて自殺してしまう人たちの中でどういう感情が起こっているのかを想像した時に、自分の中でうまく消化できなかったり、表に出す場がなかったり、孤独感だったり、すごく複雑に感情と絡み合っているのかなと思います。また自殺者が低年齢化しているというのも最近報道で見かけますが、「小児鬱(しょうにうつ)」が年々増えているという統計データもあって、それとも密接に関わっているのかなと感じています。


キャラクター02

「小児鬱」という言葉を、初めて知りました。


キャラクター01

コロナ禍で小児鬱もさらに増えてしまっているようですね。私が覚えている限りだと、一番低年齢の自殺者が確か8歳で自殺してしまったというケースがあったと思います。


キャラクター02

8歳で「命を絶とう」と思うのって、どういう状態なんだろうと考えてしまいますね…。


キャラクター01

それを聞いた時は私もすごくショックでした。どこまでの絶望を感じて、どういう感情が渦巻いていたんだろうと…。そこでやっぱり感情教育、あえて今教育という言葉を使いますが、そういうものの重要性を私を含めてどれだけ把握しているんだろうと改めて思いました。私たち保育者も感情についてもっと学ばないと、歯止めが効かないのでは…という危機感を持ったところに、(幼児の感情発達を研究している)渡邊さんとの出会いがあったわけです。


キャラクター02

実はこの対談の前に、法政大学の渡辺弥生先生ともお話したのですが、渡辺先生がおっしゃっていたのは、小学校には道徳教育があって、なんとなく道徳は心の教育かなと思っているところがあるんですけど、道徳はどちらかと言えば社会規範だったり善悪を教えるもので、それとは別に「心の教育」が欠けているよねと。心(感情や思いやりなど)って成長するとともに自然に身につくと思ってる方が多いと思うのですが、でも本当はそう簡単なことではないんですよね。

きっと昔から感情やコミュニケーション関係でつまづいている人はいたけれど、発達障がいと一緒で一般的に知られた名前がなくて社会で埋もれてしまっていた。でも、最近は困っている人が増えてきたことで、これまで見えてなかったものが顕在化してきたというか、注目されるようになってきたのかなと感じています。


キャラクター01

仰る通りだと思います。人間は感情の生き物だといわれるように、本来、感情は誰もがもっていて、どの感情も「なくす」「がまんする」ことが第一の目的ではなく、ネガティブな感情も含めてどう昇華するかがポイントなのかなと思います。そのためには、まずは自分の気持ちそのものに「気づく」「受け入れる」「理解する」ことが大事ですし、その気持ちがどこから生まれるものなのかという、ある種の分解作業も必要なのかなと。

日本における道徳や生活などは、いわゆる一般社会での「正解」は教えてもらえるかもしれませんが、私はその前段階も必要かなと思っていて、それこそが乳幼児期の感情教育なのかなと考えています。


どの感情も子どもにとって大事なもの




キャラクター02

普段、園でお子さんと接していて、お子さんの気持ちが「見えてなかったな」とか「大丈夫そうで実は…」と感じるケースはありますか?


キャラクター01

例えばある子どもがニコニコして一日過ごしていたら、保育者からすると「一日中、機嫌良く過ごしてました」という捉え方になるのですが、よく話を聞いてみると「あれが嫌だった、これが嫌だった」と言ってくれます。なのでその子が笑顔でいるから嫌な気持ちを感じていないわけじゃないというのは、日常的に感じますね。

またあくまで一例ですが、子ども同士のトラブルが起こって相手が泣いてしまったときに、笑っている子がいました。一見すると、そんな時に笑っている子を見ると「ひどい子!」と思ってしまいがちですが、紐解いていくと悲しんでいる相手に対して「どうしていいか分からない」戸惑いが、「笑顔でいればいいんだ」という思い込みで、笑顔になっていました。

そのように「どうしよう」とか、相手を「助けたいな」とか、共感して「かわいそうだな」という自分の思いと、表情がマッチングしない場合がありますね。なので、笑顔だけで判断するのは危険だなというのは、ここ数年ですごく気づかされました。


キャラクター02

小さいお子さんでも、自分の感情を隠すことも上手なので、そこに気づいてあげるというのは課題ですね。


キャラクター01

そうですね、気づいてあげることも課題ですし、空気を読まずに自分らしく生活できる場所を整えるというのも大事で、両輪なのかなと。


キャラクター02

「自分らしく」はキーワードですね。先ほど日本社会の変化の話もしましたが、お子さんたちの気持ち問題が注目されるようになったのには、社会的なプレッシャーもあるのかなと思いますね。「空気を読まないと…」という。

もともとそういう社会だったのが、よりそうなってきているために、本当に感じている気持ちを安心して出せる場所が減ってきている気がします。


キャラクター01

それはすごく感じますね。どこ行っても他人に見られているような…。(気持ちが)ご家庭で出せるのが一番ですけど、でも保護者の人でも育児が得意な人と不得意な人がいて、不得意な人に「家庭で出させてください」と言っても、すごく酷だと思うんです。毎日子どもたちと過ごすだけで一杯いっぱいな人に「家庭でしつけてください」とか「家庭で全部出させてください」というのは酷だと思っていて。

でも私のいる園は公的資金で運営されている場所なので、公教育の場としてすべての子どもがなるべく「ありのままの自分」を出せる場であり、過ごせるようにしたいなと思っていて、それがうちの園での理念でもあります。


キャラクター02

素晴らしい理念ですね!今少し、アメリカの大学時代のことを思い出しました。アメリカに「ヘッドスタート」というプログラムがあります。簡単に言うと低所得家庭のお子さんたちが国の資金で就学前教育を受けるというプログラムです。

そのプログラムを提供している園に感情発達の調査で行ったときに、ある男の子がニコニコ顔のイラストを見て「ここにいるときだけ、この顔ができるんだよ!」と教えてくれたんです。おそらく難しい家庭環境に身を置いていて、園はその子にとって唯一、安心ができて笑顔になれる場所だったのではないかなと。

みんな家庭環境はそれぞれですが、園という場でお子さんたちが普段は出せない表情とか会話ができる場を作ってあげることは、本当に重要なんだなと感じました。


キャラクター01

本当にその通りだと思います。ニコニコな思いをできる場が限られてきたときに、今ある園がどれだけそういうニコニコの場になれるのかって、個人的にはすごく大事な視点だと思っています。

先ほどもおっしゃったように、日本は空気を読む文化もあるんですけど、感情は勝手に身につくと思われてきたところも強くあって、その中でも「人と会うときは笑顔で」とか「挨拶は笑顔でしましょう」とか、笑顔をマニュアル化している空気が少しあって。そこが先ほど言った感情と表情のミスマッチにも関わってきてるのかなと思います。


キャラクター02

マニュアル化されていれば、それをしておけばいいと思ってしまいますもんね。


キャラクター01

それから負の感情もあるんだということを「良し」としない傾向もあるのかなと思います。

ありのまま衝動的に行動に出してしまって誰かを傷つけてしまうのは良くないですが、でもなるべくいろんな感情をありのまま出せて、もしその結果誰かを傷つけてしまったなら、ちゃんと謝って反省して気をつけようとすればいいですし、そういった経験もしつつ、その上で自発的なニコニコにつながる場でありたいなというのが、園を運営する上ですごく気をつけているところです。


キャラクター02

ありがとうございます。とても素敵な思いですね。


泣くことも怒ることも、心が健康な証し




キャラクター02

また少し話が変わりますが、感情に関する今の日本の教育についても、感じていることをお伺いしてもいいですか?幼稚園教育要領や保育所保育方針などでも、心について触れられていますね。


キャラクター01

そうですね。ただ書き方が少しふんわりしている印象はあります。例えば「健康な心と身体」という表現があるのですが、すごくざっくりですよね。よくも悪くも柔軟に対応できるような表現になっているのかなと思います。体はまだ数値化できる部分も多いですが、健康な心というのは判断が難しいですよね。


キャラクター02

確かに、体は身体測定や定期健診で数字を見られますが、心がどれくらい発達しているかというのは、評価の仕方がまだあまり確立されておらず、測れないからこそ何を見ていいのか分からない部分はありますよね。


キャラクター01

先ほどの話ともリンクするのかなと思います。何を見たらいいのか分からないから、多分「笑顔」なんです。「笑顔でいるからいいだろう」という。でも「だろう」なんですけどね。


キャラクター02

感情というと、どちらかというとポジティブな部分に目が向きがちですね。目の輝きだったり、どれくらいアクティブかとか。

一方でネガティブな感情をどれくらい出せているかや、どれくらい細分化して分かっているか、場面に合ったように出せるのかという部分も、しっかりと見てあげないといけないですよね。


キャラクター01

はい。これまではポジティブな感情だけを「良し」とするという教育だったかなと。例えば泣いている子どもがいたら「早く泣きやみなさい」とか。

子どもからすると、悲しかったり辛かったり思い通りにいかなかったりなどの理由があるから泣いているわけなんですが。


キャラクター02

泣くことも、健康な心ですよね。


キャラクター01

泣くことも怒ることも落ち込むことも、健康な心があるからこその心の動きなのに、泣いたら「泣きやみなさい」、落ち込んだら「元気出しなさい」みたいな対をなすような声かけが、果たして教育なのかと言われると、ちょっと疑問を感じますよね。


キャラクター02

いつでもポジティブになることが健康ではなくて、ネガティブな感情が生まれても、それをちゃんと消化できるかというところが大事ですね。

消化して絶対ポジティブに持っていく必要もないわけで。もちろん考え方はいろいろなのかなと思いますが。


キャラクター01

もしポジティブな感情だけを良しとする教育をずっと受けてきたら「ネガティブな感情を持つ自分はいけないんだ」となってしまうと思っていて。ポジティブな感情もネガティブな感情も、いろんな感情があるということや、いろんな感情が沸き起こることがおかしいことでもダメなことでもないということをちゃんと知ることが、感情教育のとても大事なことだと思います。そうでないと、ポジティブになれない人は追い詰められてしまうのかなと。

子どもたちにも生まれつきの個性で根っから明るい子もいれば、すごく心配性で不安を抱えやすい子もいます。いろんな子がもつそれぞれの感情というのは、ありのままでいいじゃないかなと。そういうの全部ひっくるめてすごく大事だということに、特に乳幼児期の間に気づかせてあげたいなと思います。

思春期になれば脳もアンバランスで気持ちもすごく揺れ動く時期になり、イライラしやすい中で「イライラしないで」とか「ポジティブになりなさい」といってもなかなか難しくて、やっぱり人格形成の基礎であり土台をつくるのは乳幼児期であり、そこは感情という面でも同様かなと思います。


幼児期における感情教育とは


キャラクター02

「感情教育」と言うと、大人が良いと思うルールや表現をお子さんに教えることと思われる方もいるのかなと思いますが、そうではなくお子さんたちが元々持っているものを育ててあげたり、持っているものを表現できる場をつくってあげることなのかなと思います。


キャラクター01

そうだと思います。教育というと「教えを乞う」ようなイメージに捉われてしまいがちで、そこは私も気をつけたいなと感じる部分です。だからあまり「感情教育」という言葉は使わない方がいいのかなとも思いますが、やっぱり言葉としては便利なので(笑)


キャラクター02

そうですよね(笑)「感情の学びのサポート」というのも、ちょっと長いですし。


キャラクター01

改めてお話すると、乳幼児期の感情教育というと、まずは自分の感情や心の動きに気づくこと、そしていろんな気持ちがあっていいということに気づくことかなと思います。そしてそれが人間なんだということをふわっとでも理解して、別に恥ずかしいことでもダメなことでもないと知ることなのかなと思います。

気持ちのコントロールをすることは早い子だと年長の後半あたりでそういう姿も見れますが、それができるのはそれより前に自分の感情に気づいて、いろんな気持ちをありのまま受け止めてもらえる経験があるからこそだと思います。その一連の流れを「感情教育」と表現するといいかもしれませんね。


キャラクター02

そうですね、その内容を押していきたいですね(笑)

少しだけ付け加えるなら、すでに現場でされていることをもう少し組織的にやるのも「感情教育」の取り組みの一環かなと思います。お子さんの学びをサポートする声かけは、保育者の皆さんはこれまでにされていると思いますが、それぞれのやり方に留まっている印象です。


キャラクター01

一般的な保育に関するやり方については、それなりの手順はまとめられていると思いますし、参考書もたくさんありますが、感情教育に関しては、私が不勉強なだけかもしれませんが見たことがないですね。


キャラクター02

先ほどお話があった「まずはお子さんが自分の気持ちを分かるところから」というのは、研究で分かっているお子さんの感情発達過程にも沿っている内容ですし、そういった現場で感じ取っているものを、研究成果と照らし合わせながら知識としてご紹介できたら、良いかもしれませんね。


キャラクター01

とりまとめたものがあると、現場の保育士さんたちも「何をとっかかりにしたらいいか」が分かりますし、すでにやっていることを集約する意味合いもありますね。ある程度系統立ててまとめられたら、すごく良いですよね。


キャラクター02

いいアイデアをもらいました(笑)


キャラクター01

私も渡邊さんといろんな取り組みを始めて、改めて「感情を教育する」場というのが自分の園にないことに、改めて気づかされました。それまでも、一人ひとりの子どもの気持ちを大事にしないといけないという思いはありました。でも「感情教育っていいな」と気づいたのは、渡邊さんとの出会いがあったからです(笑)


キャラクター02

そうでしたか(笑)ひょっとすると少し新鮮に見えたのかもしれませんね。


キャラクター01

そこから改めて私も教育要領などを見直したときに、やっぱり感情を教育するという文言はないですし、すべてふわっとしているなということを再確認しました。


キャラクター02

たぶん国として意識はあるんですが、そこまで前に押し出されているわけではないのかもしれませんね。心の定義は広いですし、社会性や礼儀なども含めて心と言っているかもしれません。


キャラクター01

心の捉え方は、皆さんそれぞれですね。だからこそあえて「感情教育」という言葉はあっていいのかなと思います。


後編につづく


最終更新日:2022/8/15