人の気持ちを思い描ける子に。 絵本講師に聞く、親子での絵本の読み方
目次
●“好き”が持つ力は想像以上
●大人も子どもも自分の“好き”を楽しもう!
●歌と同じくらい大好き!
●だいすけお兄さんのお気に入り絵本とは?
●絵本としての大切な部分が詰まっている
●“好き”を見つけて、子育ての楽しさを広げよう
“好き”が持つ力は想像以上
好きを持ち続け、広げて共有してほしい
歌や音楽が好き、子どもが好きということから、うたのお兄さんになるという夢を叶えた、だいすけお兄さん。そんなだいすけお兄さんの小さい頃の夢や楽しいことは、やはり好きから始まったものだったのだそう。
「最初の将来の夢は、パン屋さんでした。パンが大好きだったので。
あとドラゴンボールも大好きで、ドラゴンボールごっこには夢中になりました。その世界に入って、すっかりなりきっていましたよ。当時は、手から“かめはめ波”が本当に出せると信じてました(笑)。
好きが原動力になると熱中できるんです。今大人になってからも、それを思い出すとわくわくしますね」
子どもの頃の話をとても楽しそうに思い出し、話してくれただいすけお兄さん。今では特別な存在となっている歌や音楽も、その頃はたくさんあった好きのひとつだったのだとか。
「将来を意識する高校生までは、楽しみながら好きな気持ちを持ち続けていました。好きっていうことが、自分の中にあり続けていたことが大きかったと思います」
また、好きは自分の中に秘めているだけではなく、大切な人と共有することで広げていけるんじゃないかとも言います。
「僕の好きという気持ちを大きくしてくれたのは、親が褒めてくれたこと。『歌上手だね』と褒めてくれて、やる気につながりました。好きを広げてくれたと感じています」
大人も子どもも自分の“好き”を楽しもう!
“好き”を大切にして、頑張る力に
だいすけお兄さんのエピソードから、“好き”が持つ力を再認識。親としては、子どもの“好き”を全力で応援してあげたい気持ちになります。
そんなパパやママへ、ぜひ子どものではなく、まず“自分の好き”を見つけて欲しいとだいすけお兄さんは言います。
「育児はやらなくてはならないことが多く、自分を後回しにしてしまいがちです。
だからこそ、かつて自分が好きだったこと、今自分自身が楽しめる瞬間を、子どもとの生活の中でぜひ見つけ出して欲しいです」
親が好きなものを楽しんでいる時、子どもはそれを感じ、しっかり見ているのだとか。親の好きは、子どもに必ず届くと言います。
「押し付けるのではなく、好きなことを楽しむ様子を親が見せることで、子ども自身も好きなことを発信して良いんだと気付くと思うんです。“好き”を見つけるきっかけにもなるはずです」
また見つけた好きなことを、なかなか口にできない子もいるもの。だいすけお兄さんも以前は自分のことを伝えられなかったのだとか。
「恥ずかしい気持ちは誰にでもあるもの。出せる瞬間は自分のタイミングで良いと思います。僕はうたのお兄さんになって、出せるようになりました。
“好き”を共有できる嬉しさが広がるといいですよね。そう思って夢や希望、勇気など、大人になったらなかなか言えないことを言葉にして、今みんなに伝えるようにしています」
子育ては正解がないからこそ、わからなくて落ち込む時もある。だからこそ大人も子どもも“好き”を見つけて楽しんで欲しいと、だいすけお兄さんは背中を押してくれました。

歌と同じくらい大好き!
「絵本」を子どもたちにもぜひ好きになって欲しい
最近、だいすけお兄さんが好きなものは何ですか?と尋ねたところ、すぐに「絵本です!」という答えが返ってきました。最近、まさに好きになっているのが「絵本」なのだそうです。
「今生活の中で、歌と同じくらい関わっていますね。うたのお兄さん時代には、本の読み聞かせをやったことがある程度でした。
卒業後、レギュラーのラジオ番組で読み聞かせをしたり、絵本に関わっている方に話を聞いたりする中で、自分の絵本への想いに気付きました」
だいすけお兄さんが絵本を好きになったきっかけは、親に読み聞かせをしてもらったこと。自分が読み聞かせをする時にも、親の読み方がベースになっていると感じるのだとか。
「小さい頃に好きだったものが、大人になっても好きのベースになっているんですね。子どもたちのそばで仕事をしていると、自分が好きなものを子どもたちにも好きになって欲しいなという想いがあります」
しかし絵本が大好きな子どもがいる一方で、本に対して苦手意識を持つ子ども、大人も増えていると聞きます。絵本が大好きなだいすけお兄さんが考える、本を読む楽しさとは?
「本って、いろんな世界に連れて行ってくれますよね。現実ではありえない世界観、自分の目線では見つけられないものに気付けます。本の中に、何か興味が持てることが見つかるといいですよね」
今は子どもだけなく、大人も楽しめる絵本がたくさんあります。まずはいろんな絵本を手に取ってみてはいかがでしょうか。
だいすけお兄さんのお気に入り絵本とは?
誰よりも絵本を楽しんでいます!
とにかくいろんな絵本を読んでみて、気に入ったものを見つけているというだいすけお兄さん。自分で読むのも、読み聞かせしてもらうのも好きなのだそうです。読み聞かせをしてもらうと、自分とは違う読み方の発見などもあっておもしろいのだとか。
そんなだいすけお兄さんが、今お気に入りと挙げてくれた絵本3冊をご紹介します。
●絵本の内容だけでなく、親子の会話が楽しい一冊
『パンダ銭湯』
作:tupera tupera
出版社:絵本館
tupera tuperaさんの世界観が好きなのと、三角のパンダの目や、表紙の「マル秘」がおもしろい!と挙げてくれました。
「基本的にパンダの会話が中心ですが、周りの絵の中の言葉でも楽しめるし、同じように見えるパンダからそれぞれの個性も感じます。読み方を変えてみたり、絵を見て親子での会話も楽しめたり、いろんな楽しみ方がある絵本だと思います」
●大人も発見がある!野菜をもっと知りたくなる一冊
『
やさいのがっこう いちごちゃんはやさいなの?』
作:なかや みわ
出版社:白泉社
だいすけお兄さんが読んだ時に、自分の中で、「え!あ、そうなんだ!」という発見があった一冊なのだとか。
「タイトルを見たときに、いちごは果物だろう〜と思いましたが、読み終わってからそういうことなんだ!と納得できるものがありました。
そして何といっても野菜がかわいい。ほのぼのとした絵の中で、野菜に対する疑問がちゃんと解決できて、野菜の良さを感じられます。野菜をもっと知りたくなりました」
●絵と音でストーリーを楽しめる一冊
『
もこ もこもこ』
作:谷川 俊太郎
絵:元永 定正
出版社:文研出版
最初は、どういう意図でこの絵本ができたの!?と思ったというだいすけお兄さん。でも何度も読むうちに、その魅力にはまってきたのだそうです。
「正直、最初は意味が分からず、子どもは何に反応するの?と思いました。でも繰り返し読むと、だんだんおもしろくなってきたんです。
ストーリーを文字で説明するのではなく、絵と音で表していく。そういう絵本なんですね。不思議な世界観に自分も入り込んで楽しめました」
絵本としての大切な部分が詰まっている
読み聞かせ絵本の最初のステップに
絵本が大好きなだいすけお兄さんに、今回『パーソナルちいくえほん』もご覧いただきました。
「絵本としての大切な部分が詰まっていますね〜」とおっしゃっていた、だいすけお兄さん。まず『ひらがななまええほん』について、詳しくうかがいました。
「文字を理解する前に、自分の名前は早い段階で認識すると思うので、文字を使いながら遊べて、楽しめますね。自分の名前でゲームができるというのがすごく良いと思います。親子の会話につながりますね」
「自分の名前」は、これから一番付き合っていく文字であり、親からの最初の贈り物とも言われます。絵本を通して、名前も文字も好きになってくれると、親子で笑顔になれそうですね。
また『すきなもの』の絵本についても、絵本の読み聞かせの最初のステップとしても良さそうとだいすけお兄さんは言います。
「葉っぱ、バナナ、ちょうちょなど、子どもたちの好きが詰まっていますね。出てくるものを指さして、『これはわかるかな?』など会話できる余白がたくさんあって。絵本を読んで終わりではなく会話や遊びにつなげていけるので、読み聞かせを始めるパパやママの取っ掛かりとしても良いと思いました」
→「パーソナルちいくえほん」とは?
→『ひらがななまええほん』を見る
→『すきなもの』を見る
“好き”を見つけて、子育ての楽しさを広げよう
誰でも、苦手なものより好きなもののほうが頑張れるもの。好きを見つけるためには、好きをたくさん持ち、向き合えることが大事だと、今回の取材を通して改めて思いました。
好きをきっかけに興味が広がっていくこともありますし、だいすけお兄さんのようにそれが夢につながっていけば、すてきですよね。
今、輝いている人に話を聞くと、みんな好きが溢れていて、その人の魅力になっていると感じます。
私たちも子どもと過ごしていく中で、自分の“好き”が見つけられると、それが力となり、子育ての楽しさが広がっていくのではないでしょうか。皆さんにとっての自分の“好き”はなんですか?